機嫌

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東郷もそう。 ただ、それは以前までの話。 やっぱり今は誰よりも目に映る。 本当に共犯者の気分だ。 バレやしないかとヒヤヒヤしている反面、何か特別な親近感みたいなモノもある。 そんなの持ってちゃ教師としてはダメなんだろうけど、あの日は本当に追い詰められた気分だったから。  やっぱり救われた気持ちが強い。 「先生って真面目か不真面目か分かんないよね」 「何言ってんの。あたしは真面目よ」 「でも、時々すげぇ不真面目じゃん」 次のポスターを張ってたら東郷がクスクス笑いながら言った。 楽しそうに笑っちゃって何か思い出でもあるみたい。 そりゃまぁ、東郷との関係を考えると不真面目だけど、普段は真面目なはず。 それも学校じゃ2割増し。  なんせ、平凡な人間だし。 「なんでそう思うの?」 「だって停学を免れさせて貰ったことがあるし」 「そんなのあった?」 「あったよ。兄貴から預かっていた煙草を鞄から落として。先生に庇って貰った」 「あぁ、あれね…。君だったの」 説明するように話されて思い出す。
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