ホテル

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そう言えばラブホってこんな感じだったっけ。 最近ずっと家ばかりだったし、こういう場所に来ること自体が久々だから忘れてた。 しかも相手は全然知らない男。 これからこの人と本当にするのかと思うと今更ながら緊張する。 だって1人だけしか知らないし。 他の人とのアレがどうとか想像もつかない。 今までずっとたった1人の色に染まってたから。 今だって同じ。でも、もういい。塗り潰すって決めたの。 そもそもココに居ることが既に裏切り。 さっきキスもしちゃったし。 「ねぇ…。何か飲む?」 とにかく来てしまったからには後に引けず。お決まりな感じの言葉を投げながら、部屋の片隅にあったテーブルに鞄を置く。 ちょっと良い女ぶって冷蔵庫を開けて、然も慣れてますみたいな顔でお茶を取り出してみたけど、飲む気にはなれない。 碌に会話も思い浮かばないし、ただ「何も要らない」と言われて「そっか」と渇いた声を返すだけ。
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