90人が本棚に入れています
本棚に追加
驚いた様子を見せたせいでアルフォン殿下は勘違いしたらしい。
(いえ、違います。私はうれしくて仕方ないんです)
私はうれしくて頬が緩みそうになりとっさに俯く。
「すまないソルティ…実は…言いにくいんだが…ジャネットが妊娠して」
「げっ!にんしん?」
思わず令嬢とは思えない声が出た。
(そうだろう。貴様のだらしのない下半身はいずれそんな事を引き起こすだろうと思っていた。何てこと。すでに殿下を貴様呼びとは…)
「驚かせてすまないソルティ」
そこでアルフォン殿下は立ち上がり急いで私の隣に座り私の手を取った。
はじめて彼にこんなふうに触れられた。いや、ダンスの時は仕方なく手を取られたか…
だが、あまりのうれしさでそれも気にならない。
「ああ…君の手が震えている。俺はなんてことを…」
口ごもりその顔を傾け私の手に頬ずりさせる。
「何するんです!放して!人を呼びますよ」
「いや、そんなつもりはない。ただ、君を傷つけて悪いと思っただけだ」
アルフォン殿下はすぐに離れてまた向かいの席に座る。
「ソルティ…婚約解消をしてくれるか?」
最初のコメントを投稿しよう!