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「ねえ莉音」
そう言いながら莉音の部屋の扉を開けた時、丁度彼女たちは真逆剤の蓋をクルクルと回して開けようとしているところだった。
「あれ、碧。来たんだ」
「フィーラが心配になっただけ。興味がないとは言っていない」
「ねえ、どうだった? フィーラ、あの後どんなかんじだった?」
一人のクラスメートが興味深げに聞いてきた。
「別に。ただ、真逆だったよ。聞こえ方も、たぶんだけど味覚も」
「へぇ……。これで効果は保証されたってわけね。じゃ、飲んでみようか」
何のためらいもなく、莉音はそう言った。
「もちろん、みんなも飲むよね?」
笑顔だけれど、そこに圧を感じる。
「う……」
「飲むよね?」
たじろぐ彼女たちを視界に捕らえながら、莉音は再度重みのある言葉を放った。
「うん……」
その少女たちは眉尻を下げながらも小さくうなずいた。
「碧も、飲むよね?」
「興味あるって言ったの、私だし」
私の返答を聞いて満足したのか、莉音は「水取ってくる」とふたを閉めなおしたらしき真逆剤の瓶を手に持ちながら出て行った。
「はぁ……」
威圧的な言葉の標的にされた彼女たちは、緊張が解けたのか深く息を吐いた。
「やっぱり、飲まないとかなぁ?」
「自分で興味持ったから来たんでしょ。まさか来たけど飲まない気でいたの?」
「そういうわけじゃ……。ただ、フィーラの様子を見たらちょっと怖くなっちゃって」
「ふうん。でも一度飲んだ後、五日飲まなければ効果は消えるし、いいんじゃない?」
「そういう問題じゃないの。碧ったら……」
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