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「確かに麻里亜ちゃんが小さい頃は、妹がいたらこんな感じなんだろうなぁって思って、本当に可愛くて仕方なかったんだ。ポケットに絆創膏入れてるのもいじらしいし、意地を張っていたかと思うと、急に甘えてくるし。あの頃の麻里亜ちゃん、俺のことめちゃくちゃ好きだったでしょ?」  麻里亜は顔を真っ赤に染めると、両手で顔を覆って俯いた。 「どうしてそういうことを、はっきり言うの⁈」 「そりゃあ、はっきりさせたいからだよ。俺のこと、好きだった?」 「……憧れのお兄さんだったよ……」 「それは好きとは違う感情?」 「……違わない……」  これじゃあ告白してるみたいじゃないーー恥ずかしくて、もし穴があったら入りたいと思った。だがその言葉を聞いた紘太は満足気に笑うと、麻里亜の体を強く抱きしめた。 「麻里亜ちゃんがそんなふうに一途に俺を想ってくれているのが伝わってきて、いつの間にか麻里亜ちゃんに惹かれていたんだ」 「う、嘘よ……だって紘太くん、いつも彼女がいたじゃない。私のこと、妹みたいな女の子って何回も紹介してたもの……。だからもう脈なしなんだって思ってた……」  紘太は麻里亜の頭に顎を乗せ、困ったような笑顔を見せる。 「だってさ、気持ち悪いと思わない? 七歳も年下の女の子に惚れてるオッサンなんてさ」 「えっ……?」 「麻里亜ちゃんのポケットの絆創膏を独り占めしたい、俺だけに微笑んでほしい、付き合うなら俺にすればいいってずっと思ってた」 「妹じゃないの……?」 「そうやって自分を抑えて偽ってた。小さい頃から知っている子にそんな感情抱くなんて、ロリコンだと思われても仕方ないし。ただ純粋に麻里亜ちゃんを想っても、周りには情報が歪んで伝わる可能性もあるからね。それにあの時は警官だったから、未成年に手を出したらそれはそれで大問題だし」 「だ、だったら! 言って欲しかった……気持ち悪くなんかないから、私はずっと紘太くんが好きだったんだよ……妹って言われてすごく苦しかったの……もっと早く知りたかったよ……」  麻里亜を押さえつけていた紘太の体が、少しだけ離れた。その隙間で体の向きを回転させると、上目遣いで紘太を見つめる。 「どうしたらいい? 紘太くんのこと、今でも忘れられないの……大好きなの……。私のこと……好きになってくれる?」 「聞いてなかった? 俺、既に麻里亜ちゃんのことが大好きなんだけど」  その途端、麻里亜の唇は紘太に塞がれた。
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