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「看護師は私以外に、同じ入院病棟の広瀬さん、富田さん、町田さん。全員女性で、広瀬さんは明るくて優しいママさん、富田さんはしっかり者の独身女性、町田さんは私と同期で、かなりマイペースな人かな」 「年齢は?」 「広瀬さんと富田さんは三十代だったと思う。町田さんは二十代」 「医師はどう?」 「紘太くんの手術をした美並先生は、今奥さんが出産のために里帰り中、話しやすい先生だよ。それから太田先生は小児科医。良いお年なんだけど独身で、ちょっと変わり者って言われてる」  あの日は誰が飲みにいこうと言い出したんだっけ……目を伏せ、記憶を呼び起こす。 「あぁ、そう……富田さんがみんなを誘って。でも富田さんが一番酔っ払ったの。それで私に家まで送って欲しいって言われて、仕方ないからタクシーに同乗して帰ったんだ。でも家に着いたら酔いが覚めたみたいで、けろっとして部屋に入って行って、なんか拍子抜けしちゃった」  妙な違和感を覚えながら、家まで帰ったのを覚えてる。  紘太は眼球をぐるっと回しながら、何か考え事をするかのように手を口元に添える。それから目を見開いたかと思うと、納得したように頷く。 「なるほど……もしかしたらーー」 「もしかしたら?」  気になった麻里亜が尋ねると、紘太は不敵な笑みを浮かべた。 「まだ確証がないから内緒。それよりも、不動産屋は予約してる?」 「あっ、してない」 「じゃあとりあえず朝イチで行ってみた方がいいかもね。今日は俺もついていくからさ」 「ありがとう。すごく心強い」 「本当はもう一回したいけど、朝イチから行くなら我慢するよ……って麻里亜ちゃん⁈」  麻里亜は顔を真っ赤に染めると、紘太の腕の中から飛び出してシャワーを浴びに行ってしまった。
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