もう一度キスしたかった

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案内されたのは新宿のホテルの地下にある       薄暗いバーの個室。 ボスと二人案内されると     奥のソファに深く座っていた会長。     会長とは言っても      まだ50を過ぎたばかりの     働き盛りの感じのする      どちらかと言うと表の社会の人。 アタシを見つけるとすぐに立ち上がり     口髭の間から真っ白な歯を覗かせた。 「比奈ちゃん!久しぶり」 「どうも、お久しぶりです」 少し世間話をして本題に入る彼を      視界の隅に置いて笑顔をつくる。 「オリジナルって何曲かある?」 「いえ、一曲だけです」 「あの三日月だっけ」 「あ、はい」 「あの歌良いよね、とにかく三日月をちゃんとアレンジして、うちで配信させてくれない?どう?」
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