プロローグ

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優果と付き合い始めたのは    優果が高1で俺が大学1年。     暑い夏の日 部活の後輩だった優果を地元の夏祭りに誘った。    優果の初めての浴衣姿が可愛かった。 ーー似合う? ーーうん。 公園は地域の盆踊りで賑わってて    無数にも見えた提灯の灯りを(さえぎ)る      木陰(こかげ)で初めて重ねた唇。 顔が近づいていくと     心臓はバクバクと波打った。 唇が離れると優果は顔を朱に染め     俺の胸に顔を(うず)めた。       優果、覚えてるかな? 盆踊りが終わり人波も消えた公園のベンチに二人だけが取り残され、周りの商店街の灯りも一つ二つ消えても話は尽きなかった。 あの日の僕たちにはどんなに時間があっても      24時間じゃ足りなかった。
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