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織田慎次郎、39歳。営業第2課の課長。
若手のホープなんて言われてる
美人の奥さんと二人の娘と犬と
タワーマンションで暮らす
所謂、勝ち組。
しかも芸能人並のイケメンで
性格も良くて俺なんかとは月とスッポン。
阿月がしな垂れて満足気な顔して出てきたあの光景に流石にショックを受けた。優果は何も言わずに消えた。
そしてーーーー
その時、スーツの中の携帯が震えた。
三田君、今どこ?
ごめん、打合せで電話出れなかった。
今から家行っていい?
は?
携帯を握った右手が震えた。
どうして良いかわからない。
阿月の喘ぎ声が耳の奥で鳴り続ける。
結婚したいなあ。
今度うちの実家に来ない?
あの言葉からそんなに経っていないのに
この現実をどう処理して良いか
わからないまま歩いていると
いつの間にか渋谷のセンター街近くの公園のベンチに座っていた。そして空を見上げる。
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