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「これで心置きなく新婚生活送れるね?」
蛍はその煌めく瞳を三日月のように細めると、口元に手を当ててクスリと笑った。
「嘘…だよね?」
「何が?」
「嘘って言ってよ、、、蛍」
あり得ない。きっと間違いだ。
ニュース全部間違ってる。それか、警察が嘘をついたに違いない。そもそも火事なんて起こらなかったのかも。これは盛大なドッキリ。ジョージの怪我は演技で、燃えた家は偽物。
でなければ、こんな事起こり得るはずがない。
許されるはずがない。
「…あの人…中学の時の、、先生だよね…?」
私に乾パンをくれたかつての担任。
私の境遇に心を痛め、退学を最後まで秘密にしてくれた人。蛍にだって言わずにいてくれた。
見た目は変わっても名前は覚えている。
「私たちの、、担任…だった人だよね?」
「そうだっけ?覚えてないや」
「なんで先生が…捕まるの…」
「そりゃ、放火したからじゃん?」
「違うって知ってるよね!?だって、あの火事は…わ、私の、、不注意のせいで…」
多くの情報が濁流みたいに流れ込んで、頭が割れそうな程痛い。
「嘘…嘘だよ…嘘って言ってよ!!」
こんな世界が罷り通っていいはずがない。
別人を犯人に仕立て上げたなんて。
私のせいで、無実の人が罪を被るなんて。
それを、蛍は簡単にやってのけてしまうなんて。
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