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これは線引き。 私とコイツ。庶民と選民。過去と現在。かつては同じ世界にいたとしても、今はもう違う。あの頃と同じ感覚でいられては困る。 「…もうすぐ代表が戻るはずなので、処分についてはそちらで話されて頂けますか。それでは」 「待てよ」 焦げつきそうな視線に見つめられて思わず俯く。昔から変わらず眩いコイツに比べ、私のなんと小汚い事。23にもなって化粧一つしてない顔を、手入れすらまともにでない自分を、見られるのが恥ずかしかった。 見下されるのも、逆に同情されるのもごめんだ。 まぁ常盤蛍相手なら、どんな態度を取られても癪に障るが。 「…何でしょうか」 小さく呟けば、彼はまた手を伸ばして私の腕を掴んだ。ギリギリ乱暴ではない、でも決して優しくはない掴み方で。 「常盤様、なんて随分他人行儀じゃん」 「お客様ですので」 「俺はこんなに会いたかったのに、お前は違うの?」 とんでもないセリフに、鼻で笑いそうになる。 どの口がそんな事を。お互い嫌な記憶しかないだろうに。 「…常盤様…無礼は謝罪致します。ですので、手は離していただけると」 「元カレ相手に、ちょっと冷た過ぎねぇ?」 ああ、ほんと。めんどくさい男。 「なぁ、菫。昔みたいに呼べよ。蛍って」
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