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通常なら業務は一人で行う。富裕層専門と言っても、弊社のような家事代行を頼むのは基本独身か核家族なので一人で出来る規模だから。
だが、この依頼は少し特殊らしい。
というのも、都心ど真ん中、超高級マンションのペントハウス。5LDKもある上に、各部屋に冗談抜きで私の部屋より広いウォークインクローゼット付き。空中庭園かと思う広さのバルコニーに、サンルームまで。
それらの清掃にプラスして一週間分の作り置き。
よっぽどのVIPなのか、圭子さんと超ベテランが2人で担当しているが、その人が骨折してしまったので今日は新米の私が駆り出された。
訳なのだけれど。
「じゃああたし、足りない材料買ってくるね」
「了解です!」
「一人にしてごめんなさいね。うっかりミスったわ」
圭子さんには珍しい痛恨のミス。食材を数点買い忘れて来たのだ。
「大丈夫ですよ〜。私先に作り始めておきますね!」
「ありがとう!家主は明日帰宅だからバッタリ遭遇する事はないだろうけど、もし仮に関係者に会ったとしたら…」
不信感たっぷりのジト目が向けられて、慌てて営業スマイルを作った。
「分かってます分かってます!笑顔でハキハキと!礼儀正しく綺麗な言葉で!会社イメージを汚さない!!」
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