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僕らの周りの大人たちは楽しそうなことには、とんでもない行動力を見せる。瑞希先生にお願いしたら、あっさり許可されて、それがすぐに理事長の耳に入って全校巻き込んでにょんたんずイベントになって、それを聞きつけた束砂さんがあっさり衣装をデザインしてくれて、大さんと徹さんが動画撮るって意気込んで、衣装の製作には伊織先生がお金を出してくれて、なぜか伊織先生のスタジオメンバーも招待された。この流れが終わるまで僕らがハロウィンパーティやろうと言い出してから一週間。みんな本気過ぎてちょっと引く。
「翡翠……、本当にその衣装でいくの?」
ハロウィンパーティ当日。僕らの着替えの見張りをしていた瑠璃お兄ちゃんが着替えた僕らを見て心配性を発揮した。確かに足は大胆に出てるけど僕らの年頃だったらミニスカートなんて当たり前だし、鎖骨も出てるけど束砂さんは胸元が隠れるような魔法少女デザインをしてくれた。
「可愛い衣装だと思うけどなぁ」
「でもでもそんなに露出してるんだよ? へんたいさんが集まってくるよ!」
「瑠璃お兄ちゃんは心配しすぎだよ。参加者のへんたいさんは、理事長とお父さんと伊織先生だけだよ? 瑠璃お兄ちゃんたちなら対処可能でしょ?」
「その三人が一番ヤバいんだよ!」
フーフーとスイスイは欠伸をしている。このくだりをずっとやっていて話が進まないからだ。
「早くせんかぁぁぁぁぁ!!」
しびれを切らした瑞希先生が更衣室になってる教室に殴り込んできた。
「瑠璃くん! 心配性は分かるけど決まったことにあとからウダウダ言うんじゃない! 大体瑠璃くんだって」
「分かった! 分かったから翡翠の前では言わないで!」
瑠璃お兄ちゃんは何を秘密にしているのだろう? 僕の予想では伊織先生に変な仕事振られているんだろうなぁって思っているから、少しくらい変なイベントしていても瑠璃お兄ちゃんの見る目は変わらないのにね。
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