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「どうして……」
「お前は質問ばかりだな。そんなことはどうでも良いからさ、今日の分の薬、飲んでくれない?」
ほら、と言って彼は錠剤を渡してくる。
飲むわけにはいかなかった。今日はこの後、依央が来てくれることになっていたからだ。ここで眠ったら、私はここから脱出する機会を失ってしまう。
錠剤を手に持ったまま、それを口に入れることを渋っていると、彼は段々と苛立ってきたみたいだった。少しずつ、彼の顔が歪む。
「早くしろよ。こっちも学校あるんだけど」
「私だって、今日は学校があるはず、っていうか……」
「この期に及んで、というかあの状況で学校行きたいとか思ってるわけ? お前は本当に馬鹿だよ」
綾人くんは水の入ったコップを床に叩きつけた。がしゃん、という鋭い音と、水が床に跳ねる音が鼓膜を伝って、同時にお腹の底から、重たい恐怖の感情が浮かび上がってきた。
彼は私をベッドに仰向けにさせて、私のお腹の上に跨った。結束バンドで固定されている私の両手を私の頭の上に持っていき、それを左手でベッドに強く押し付けている。
私は薬を飲まされないようにと、口を固く閉ざした。
けれど、そんな私を見下ろした綾人くんは、その手を私の首にかけた。
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