第4章 変性

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「僕はねえ、きみのことが好きなの。それはもう良いよね?」  夏目先輩が私に優しく問いかけてきた。  全然良くはないのだが、とりあえず頷いておく。 「どうやらきみは、嫌なことがあると僕のところに眠りに来てくれるらしくてね。好きな子をいじめたくなっちゃうような幼稚な小学生だった僕は、高校生にもなって、きみのことをいじめたくなってしまったわけ」 「……そんなことは別に良いんです。須藤さんのことを教えてください」 「急かさないでよ」  夏目先輩が手足を組んで、椅子の背もたれに深く体重を乗せた。 「祥平と別れて傷心だったマナに近付いたのは僕の方からだよ。ちょろかったな。丸腰でここに来てくれたんだから」 「そんな……」 「マナがここに来たのは合意の上だよ。そこのソファーの上に座ってくれたのもね。その先はどうだったか、あいにく覚えてはいないけれど」  夏目先輩がへらへらとした口調で、私がいつも眠りに沈んでいるソファーを指差した。 「……それで」 「あとは想像の通りさ。マナがあまりにも可愛いものだから、っていうのはさすがに冗談だけど、とにかくマナのそういう姿を動画に撮って、それをダシにして僕がマナを脅して、きみをいじめさせていたのは確かだよ」  夏目先輩は腕を組み直しながら、つまらなそうな顔をして私と依央の顔を見た。 「んで、きみたちは僕をどうしたいの?」
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