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アルコールを摂取すると勃ちにくくなる、と前に言っていたはずなのに、こうも準備万端なのは何故なのだろう。
ロリコンはキモい、と一蹴したはずなのに、歳下の私を抱くのは何故なのだろう。私だってもともとは小学生女児だ。
薄暗い部屋の中、すでに消されたテレビの向こう側を想像する。小学生に繰り返しわいせつな行為を行った会社員。彼は小児性愛者だったのだろうか。
想像することは人間の得意分野。だけどこの行為には何の意味もない。
眼前の状況に意識を戻した。
照明が限りなく絞られた空間で、裸の男女がふたり。
始まりの予感だけが漂っている。
彼氏である一成は、わたしの様子を触って確かめている。すると彼は、「あれ」と声を漏らした。
「あんま濡れてないね。調子悪い?」
用意していた言葉を投げ返す。
「……ごめん。さっきのニュース、急に思い出しちゃって」
自分の身体の準備が整っていないことをニュースのせいにしてみると、一成はそっか、と苦笑いを浮かべて、向こう側に置いてあるローションに手を伸ばした。
一成は人工的な潤滑剤を手にとって、広げていく。
わたしに気を利かせて行為をやめるという選択肢はないのか。つくづく自分本位だ。
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