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思わず見惚れていると、愛美が「妃奈?」と、私の目の前でヒラヒラと手を振る。
「は! 愛美が綺麗で見惚れてた!」
「は!? ……何よ、褒めても何も出ないわよ」
ジトッと目を細めて私を見る愛美。表情は怒ってるみたいだけど、頬がほんのり赤くなっている所が本当に可愛い。
うふふ、と溢れる笑みを抑えきれずに愛美を見ていると、「じゃなくて!」と、机を叩きながら抗議された。
「今回も、また千秋くんに慰めてもらったのって聞いてるんだけど!」
「え? うん……まぁ」
「夜中から朝まで?」
「朝まで慰めてもらってはないよ!? 1時間くらいでちゃんと寝たし!」
「寝たの!? 二人で!?」
「別々の布団でね!?」
誤解されないよう高速で返答していると、愛美は勢いが落ち着いたのか背もたれに体を預けて「あぁ、なんだ……」と呟く。
「一緒に寝るわけないじゃん! ……彼氏じゃなくて友達なんだよ」
「あーのーねー、それを言うんだったら深夜に呼び出して慰めてもらったり、朝まで二人っきりの部屋に居るのも、友達って言えるか怪しいもんよ?」
「そっかぁ……」
……私も、本当は分かってる。千秋は彼氏じゃないんだから甘えすぎちゃいけないって。
でも、私はもう、千秋の優しさ無しじゃ生きていけないんじゃないかって……そんなふうに思ってしまう。
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