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「……落ち着いた?」
ひとしきり泣いてケーキを食べて、あったかい紅茶を飲んだところで、ほっと一息つく。
ケーキ屋さん開いてなかった。と言いながらコンビニで買ってきてくれたケーキやスイーツは、どれも私が好きなものばかり。
「うん、ありがとう……」
「なら良かった。まだ話し足りなかったらいくらでも聞くし、疲れたならゆっくり寝な」
「ん……」
頭を優しく撫でてくれる千秋の手は、暖かくて心地いい。
たくさん泣いて喚いていた私はどうやら疲れていたようで、その心地よさにウトウトと目が閉じていく。
「眠い? ベッド入りな。風邪ひくからさ」
「うん……千秋は……?」
「妃奈が寝たら俺も寝るよ。いつもの布団借りるね」
「うん……ちゃんと干しといたよ」
「はは、そうなの? ありがとう」
千秋の瞳が楽しげに細められて、口角が柔らかく上がった。
千秋が笑ってくれたから何だか私も嬉しくなって、「へへ」と、頬が緩む。
「笑えるなら大丈夫。ろくでもない男の事なんか、寝て忘れよ」
「うん……そうする」
ベッドに入ってからも千秋は頭を撫で続けてくれて、私が寝るまで傍に居てくれた。
……千秋のおかげで、嫌なことも忘れてゆっくり眠れる。まるで安定剤みたいだ。
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