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思わず、ふふ、と笑っていると、愛美が「千秋くんはさ」と、口を開く。
「彼女作らないの? あれだけモテてたら告白されたりもしてるんでしょ?」
ふいに愛美が放ったその言葉に、一瞬心臓がドクンと跳ねる。
千秋に、彼女……。
そうだよね。格好良くて優しい千秋の彼女になりたい人はいっぱい居るだろうから、千秋が作ろうと思えばすぐに出来るんだろうな……。
少しドキドキしながら千秋の答えを待っていると、その前に湊くんが「そうだよ!」と興味津々に身を乗り出した。
「この前も、講義の後三年の先輩に呼び出されてたじゃん! あれ、どうなったの?」
「ほら、やっぱり告白されてんじゃん」
「えっ、千秋、三年生に告白されたの?」
「湊……」
余計なことを……、と、呟く千秋の顔は、怒っているのか少し怖い。
聞いちゃ駄目だったのかな。と、思わず顔を逸らすと、千秋が小さくため息をつき、私の方をちらっと見てから、
「それは……告白と言うか、まぁ、そんな感じだったけど、断ったよ」
「え!? 断ったの!? めっちゃ美人の先輩だったのに!?」
「へー、美人だったんだ」
「あ、でも愛美ちゃんの方がもっと美人だよ」
「ははは」
湊くんのアプローチは届かず、愛美のあからさまな愛想笑いで儚くもかき消される。
それでもめげずにアタックを続ける湊くんのメンタルは、本当にすごい。
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