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残っているプリンを食べながら他愛もない話をして、少し経った頃。
「……あ! やばい! 昼休み終わる!」
ふと、スマホを取り出した湊くんがそう言うと、千秋も腕時計を確認して「本当だ」と呟く。
「妃奈と愛美ちゃんは次、空きコマ?」
「うん、そうなの。千秋と湊くんは授業あるんだね」
「聞いてるだけで良いからめっちゃ楽なやつだけどね〜!」
へへ、と笑う湊くん。明るくて可愛くて、見ているだけで私も元気になる。
食べ終わったプリンの容器を他のゴミと一緒に袋に入れ、キュッと口を縛る。
と、「じゃあ、行くね」と行った千秋がゴミの入った袋をひょいと持ち、席から立ち上がった。
「え! 千秋、それ私の……!」
「ん、ついでだから捨てておくよ。じゃあね」
「あ、ありがとう!」
颯爽と去って行く千秋に向かってそう言うと、千秋は軽く手を上げて私の言葉に応じる。
……サラッとこう言う事しちゃうの、ほんとズルい。
ピンと伸びた背中を見送ってから、ふと前を見ると、頬杖をついて真剣な顔をしている愛美とばっちり目が合った。
何か、すごく見られている……?
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