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「もちろん応援してくれるよね?」
愛美がにっこりと笑い、クイッと首を傾ける。
そんな愛美のお願いに私は"イエス"も"ノー"も言えなくて、「あ……」と言葉を詰まらせ、目線が急激に下に向かう。
愛美の思いは応援したいけど、よりによって千秋が相手なんて。
二人に仲良くなって欲しいって思っていたのに、愛美が千秋を好きになる可能性を考えていなかった。
愛美は美人でしっかり者で、口調がきつい時もあるけどお姉さんみたいに包み込んでくれる、本当に素敵な人。
そんな愛美にアピールされて好きにならない人はきっと居ない。
大好きな二人が付き合ったら嬉しいはずなのに、千秋と愛美が並んでいる所を想像すると、ズキズキと胸が痛む。
だって、だって私は……。
ジーッと私を見つめる愛美の目を見れなくていつまでも顔が上げられずにいると、「やっぱりね」と、愛美のからかうような声が聞こえてきた。
「妃奈、今、何でよりによって千秋なの? って思ったでしょ」
「え……」
「私が千秋くん狙うって聞いてショックだったんじゃない?」
愛美の大きな瞳に、今にも泣いてしまいそう情けない顔をした私が映る。
私の心を見透かすような力強い視線に、私は何も言えなくなって、こくんと小さく頷いた。
すると愛美はニヤリと口角を上げ、「やっぱりね」といたずらっぽく笑い、私の頬に手を伸ばす。
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