1.あの日のチーズケーキ

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――千秋とは、大学一年の夏休みにバイト先の居酒屋で会った。 千秋は4月からそこでバイトをしていて、4ヶ月あとから入った私は最初の仕事を千秋に教えてもらうことになった。 「椎名(しいな)千秋(ちあき)です。よろしくね」 「あっ、片岡(かたおか)妃奈(ひな)です。よろしくお願いします!」 最初に会った時から、千秋は優しかった。 初めてのアルバイトだった私はすごく緊張していたし、仕事なんてろくに出来たものじゃなかったけど、一度も怒ったり苛立ったりされることは無く、私ができるようになるまで穏やかに教えてくれていた。 そんな千秋はバイト仲間の女の子達に人気で、休憩時間にはいつも誰かが周りに居た。 千秋は派手髪の人が多い中で、逆に珍しいサラサラの黒髪と涼し気な目元、長いまつ毛に白い肌、整った顔立ちと高い身長で、お店の中でもとても目立っていた。 格好良くて優しい千秋の事を、嫌いな人は居なかったんじゃないかな。 しばらくは、仕事以外で千秋と話す機会は無くて、"椎名さん"って呼んでるような、挨拶を交わすくらいの間柄だったんだけど、その日は突然やって来る。 当時、私が付き合っていた彼氏は少し束縛が強い人だった。 バイトを始める事を反対はされなかったけど、シフトは毎回共有しなければいけなくて、バイトの終了時間には必ず連絡を入れていた。
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