ただいまの意味

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 総理大臣と文部科学大臣がこのような話をしているうちに、恐竜はついに東京都心、霞が関近隣へと到達。 恐竜はただ、歩いているだけでビル郡を薙ぎ倒し踏み潰していく。 戦後の復興より築き上げてきたビル群が、瞬く間に瓦礫の山へと変わっていく…… 作り上げるのは大変だが、壊れる時は実に簡単に呆気ないものである。 総理大臣が滅美(ほろび)ゆく東京の虚しさに打ち拉がれていると、秘書が話しかけてきた。 「総理、(じき)国会(ここ)にも来ます」 「都民の避難は?」 「確認出来る限りですが、100%です。東京都心からの市民の避難は完了しています、後は我々のみです」 「うむ」 総理大臣は秘書の案内によってヘリコプターに乗った。飛ぶヘリコプターの窓から見る東京都心は見る影もない。瓦礫と崩れたビルの乱立する地獄がそこにあった。 それから間もなくに、国会議事堂も恐竜によって踏み潰されて瓦礫の山と化す。 「これが映画化されたら、客席全員スタンディングオベーションの大歓声だろうな! ははは!」と、総理大臣は窓に身を寄せて笑いながら涙を浮かべる。 すると、脳内に声が響いてきた。
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