一緒に堕ちて、愛して

1 違和感

「今日、瀧澤何の話だったの」

抱きしめたのを受け入れられながら問いかけられて、急に心臓が早くなる。

本当の事を言う訳には行かない。

「何か、仕事でこの方がやり方早くないかとか検討の話だったよ。一緒に考えていたの」

誤魔化せたか分からない言い訳をして、必死に明るい声を取り繕う。

律は「ふーん」と返事をして、私の頭をそっと撫でた。

「気を付けてるんだけど、やっぱ嫉妬してたみたい。2人でご飯とか、2人で相談とか。何も無いって信じてても、嫌かも。」

少しだけ抱きしめられる力が強くなった。

嫉妬とか、可愛い所あるんだな。

「庵くん、ああいう子だから頼れる人会社に居ないって言ってたから、つい面倒見ちゃって。気を付けるね」

そう言うと、うんと首を縦に振っている。