120人が本棚に入れています
本棚に追加
「親の離婚で名前も変わったし、覚えてないかもと思ったけど、本当に覚えてないなんて、その時は本当に傷ついたなぁ。俺は、高校の時から君が好きで、ずっと見てたのに。」
そう愛おしそうに、私の頬を撫でる。
もう、何年もずっとだったなんて。
怖いと好きが混じって頭の中はぐちゃぐちゃだった。
「私が怖い思いしてたのを、見てたの?」
「怯えている遥香も可愛いよね、声を掛けたらそのまま頼ってきてくれるなんて思わなかったけど。」
怯えていたのをわかって、可愛い?
ようやくその言葉を聞いて怒りに変わった。
「ふざけないで!私はずっと…!誰にも相談出来ないでいたのに!」
声を荒らげて、掴まれていた手首を動かそうとするも、男の人の力には勝てない。
「…好きだったのに…。」
そう零れた言葉が律に届いたかは分からない。
最初のコメントを投稿しよう!