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画家になると誓い合った少数の仲間たちは、公募で認められたり、有名画家の弟子になったりして、日の当たる道を歩んで行きました。剛だけが一人取り残されました。
意欲はあるものの手応えが得られない剛は、有名画家の画風を採り入れたり、奇をてらったり、古典的な題材に救いを求めたり、と試行錯誤を繰り返しましたが、配色の問題を克服することが、依然としてできませんでした。
ある日、ふだんは覗くことのない日本画の展覧会にふらりと入りました。洋画とはまったく違うタッチの絵を回覧していると、ある絵の前で足が止まりました。
それは山水画でした。
そのとき、ふっと閃いたのです。
自分は色弱なのだから、有彩色を無理して使う必要はない。山水画が墨を使って黒と白の世界を描くように、自分は西洋画でモノトーンの世界を描けばよい。剛は自分の答えを見つけたのです。
その日から剛はモノトーンの絵を描き始めました。これまで各地を訪れて描いたさまざまな風景のスケッチがたまっていましたので、それをモノトーンでキャンパスに描くと、どの絵も生き生きとしてきました。日増しに自信が湧いてきました。
しかし、そのとき、剛は既に二十九歳でした。三十歳という約束の日までに賞を取りたいと、懸命に作品に打ち込み、締め切りギリギリまで描き直し、ある展覧会に応募しました。
最終候補作品六作の中に残ったという通知を貰った剛は、確信を持ちました。今度こそいけると。
誕生日まであと一か月というころ、発表がありました。
入選者の中に彼の名前はありませんでした。
剛は納得がいかず、友人たちに電話して愚痴をこぼしました。そのうちの一人が、審査員の弟子という関係を利用して、剛の絵について尋ねてくれたのです。すると、その審査員はこう言ったというのです。
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