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高校に入学する少し前に恭平さんからこの話をされ、断る理由もない私は、ふたつ返事で引き受けた。お世話になっている恭平さんや香織さんの頼みを、私が拒否するはずがない。
彩香とは一緒にいるうちに話すようになって、今のような関係になった。
友達である前に私は彩香を守るという役目がある。
恭平さんから任されたことだ。責任を感じて真剣にやっているけど、彩香自身は、私の立場などはあまり気にしていないようだった。
前に一度、なぜそんなにプロの護衛が嫌なのかと聞いたことがある。だって彼らのほうが、確実に腕はいい。
「絶対に嫌よ。目立ってしょうがないもの」
嫌そうな顔をして言っていたけど、彩香は綺麗な顔をしているから今でも目立っているのに。
あんなに嫌がるなら何か深刻な理由があるのかと思っていたけど、そんな理由だったのかとおかしくて笑ってしまった。
彩香にはムッとした表情をされたけど。
「心配しないで下さい。彼女はもちろん、私もそんなに危険になることはありませんから」
電話越しに心配してくれている香織さんにそう言い、少し話してから電話を切った。
「⋯ごめんなさい」
最後に小さく呟いた言葉は、きっと電話の向こうの彼女には、届いていないだろう。
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