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「本条組の現組長の息子で若頭の本条時雨。喧嘩の腕前と、その圧倒的なカリスマ性で彼らの頂点に立ってる実力派。時雨がトップになってからは繁華街の治安も以前よりかなり良くなったみたい」
もちろん、女の子達の支持も絶大よ。
彩香の言葉に、学校の生徒達とクラブに訪れる人達を思い浮かべる。
学校でもクラブでも、本条達は騒がれているけれど、それは彼らの顔や名前に夢中な女の子達だけではなく、男達もだった。
強い本条達に憧れ、期待と羨望の眼差しを送っている。
本条にはどこか、人の上に立つ素質というものがあるんだろう。
「彼らのトップが時雨だとしたら、頭脳が真木修二。巧みな作戦で時雨を援護する、いわば右腕ね。実際、修二にはめられて壊滅させられたチームがたくさんあるようだし」
「喧嘩も強いんだよ」
知らない話ばかりで驚きっぱなしの私に、2人は平然とした顔で続ける。
それにしても、あの穏やかそうな修二さんが喧嘩をする姿が想像できない。クリスマスの時は熱でそんなに動けなかったようだし⋯⋯。
と、ソファに座る彩香といとのちょうど間にタケが「わかってねえな」と呆れた顔をして現れた。
「あら、タケ」
「てめぇ⋯⋯って今日は普通に呼ぶのかよ!」
「だって飽きたんだもの」
ふぅ、と退屈そうな表情をする彩香にタケが嫌そうな視線を送る。
この2人のやり取りも私は特に関わらないし、いとも楽しそうに見ているだけだから相変わらず。
「わかってないって?」
そして、おそらく私に言ったであろう言葉の説明をタケに求める。
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