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始動
彩香から「準備ができた」と連絡が来たのは、それから1週間後のことだった。
昼休憩、彩香に返事を返しながらお弁当を食べる。
⋯いよいよか。一度、家に帰らなければならない。この前彩香と買った服は持って来ていないから。
彩香と何時に合流できるだろうか。
昼休憩を終えて教室に戻っていると、体育館の入口にある水道前に、女子生徒が見えた。
⋯⋯あれは、沢原いと?
彼女は水道の前で何かを洗っていた。
ここからでは遠くて手元は見えないけど、裸足のところを見ると、靴下や上履きを洗っているのかもしれない。
⋯⋯くだらない。どこがいいんだ、あの男達の。
沢原いとを憎んであんなことをする女子達も、それを抵抗もせず受けている沢原いとも理解できない。
本条にはいつも行動を共にする男達が数人いて、それもまた綺麗な顔をしているため騒がれていた。
私は見たことがないけれど、噂でいくらでも耳に入る。
だけどやっぱり思うのは、学校でひっそりと過ごす私には接点もないし、関係のないこと。
同情はするけど、沢原いとにもその感情は同じだった。
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