176人が本棚に入れています
本棚に追加
「⋯⋯わかった」
まあ、黙ってくれると思えばお弁当なんて安いもの。それにお昼を過ごす最高の場所まで得られて、一石二鳥だ。
私が心の中で前向き思考に変換しているとき、遠くからチャイムの音が聞こえた。おそらく昼休憩終了の予鈴。
そろそろ行こうと私が立ち上がるけど、泉は立ち上がらないどころかソファに寝転ぶ。
「授業、始まるけど」
「昼寝」
⋯⋯そういえばこの学校はこれが当たり前だった。私のように真面目に毎日全ての授業を受けるほうが少数派。
「沙羅」
遅れるから行こう、と部屋を出ようとした時、泉が私の名前を呼ぶ。
「また明日」
真っ直ぐに私を見てそう言う泉を横目に、ゆっくりと扉を閉めた。
最初のコメントを投稿しよう!