聖夜の事件

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クリスマスは家の関係でパーティーがあるらしくクラブに行けない彩香はクリスマスイブである今日、クラブに行くことになっていた。 一緒にいることが多いから忘れがちだけど、こんな時、彩香は日本の経済界を動かす財閥のご令嬢なんだと改めて実感する。 クリスマスや年末年始はパーティー続きでクラブに顔を出せないからイブは絶対行くの、とか少し前に言っていた気がする。 「クリスマスって、好きな人と過ごすものでしょう?」 ⋯⋯だそうだ。 まあ彩香は本条のことが好き、という設定だから間違ってはいないけど。ちゃんと設定にのるところが彩香らしいというか。 2階に上がると、がらりとした空間が私達を出迎える。 「今日はずいぶん人が少ないのね」 部屋に入ったばかりの彩香が、ゆっくりと周りを見渡す。 彩香の言うように、この部屋にこんなに人が少ないのは初めてで、嫌な予感に眉をひそめる。 ⋯⋯なにかあったのかもしれない。 いつもなら沢原さんの横にいるはずの本条だって、今日はいない。 「⋯⋯⋯⋯」 彩香も同じことを思ったのか、視線が合う。 そのときだった。 ガシャ————————ン!!!
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