日常

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不憫な話だ。 まるで重罪人のように非難されている沢原いとは、彼女達の一方的な感情に、ただ巻き込まれたに過ぎない。 むしろ、被害者と言っても過言ではない気がする。 本条に相手にされないからと言って、沢原いとを攻撃する理由にはならないと思うけど。 まぁ、そんな常識が彼女達に通用するとは思えないし、第一私は、興味がない。 私には全く関係の無いことだ。本条時雨も、沢原いとも。 「⋯戻ろ」 5時間目の予鈴が聞こえて、お弁当を片付けて教室に戻った。 午後の授業を終えて、学校を出て急いで駅に向かう。 待ち合わせに遅れるのはよくない。かといって別に行きたいわけじゃないけど。むしろ嫌だけど。 朝よりは人の少ない電車を乗り継ぎ、待ち合わせのカフェに着いて中を見渡す。 ⋯⋯いた。 いちばん奥のテーブル席、優雅にティータイムをする目的の人物に視線を向ける。
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