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1台のバイクが止まったのを確認して、茂みから出る。
「沙羅」
繁華街から少し離れたこの公園を指定したのは私だった。飛ばしたのか、泉は予定よりかなり早く到着した。
終業式を終えて冬休みに入っていたから、会うのは2日ぶりだ。
「本条達は?」
「クラブ。でももう相手のとこ向かってると思う」
「詳しいことは行きながら話すから」
電話で大体のことは話していたから、彩香と沢原さんの救出に向かったのだろう。
私達も早く行かなきゃ。
泉の後ろに乗ろうとしたとき、泉が私の腕を掴んだ。
「どうした、その格好」
そう言われて、はっとする。そうだ、私は今“サラ”じゃないんだった。
「なにがあった?」
グイッと腕を引かれて顔を覗き込まれる。
「⋯⋯別にこっちのほうが逃げやすかっただけ。ていうか、近い」
「いいのか、そのまま行っても」
私の言葉は完全に無視した泉にコクンと頷く。
「時間がないでしょ。それに⋯⋯」
沢原さんには、この姿でもいいかと思って。
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