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そう思った理由はやっぱり説明できないけど。
それに本条達にもいずれ同じ学校だと気づかれてしまうけど、それでもいいかと思ったから。
「そうか」
泉はふっと笑って、私の頭に手を載せる。
「⋯⋯なに」
「別に」
私、子どもじゃないんだけど⋯。
静かに睨むと泉はまた笑って、今度は自分が着ていたダウンジャケットを脱いで「ん」と差し出してくる。
「いいよ、泉も寒いでしょ?」
「寒くない」
「鼻赤いけど」
「⋯⋯」
「とにかく私は、」
「———沙羅」
ふわり、私の身体をダウンジャケットで包んで泉が私の目を捉える。
「いいから着てろ」
⋯⋯だから苦手なんだ、泉の瞳は。泉はもうヘルメットを私の頭に被せようとゴソゴソとしている。
「⋯⋯ありがと」
「ん」
泉の後ろに乗って腰に腕を回すと、バイクはすぐに発進した。
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