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Side いと
目隠しをされて車に乗せられ、次に目を開いたのは廃れた倉庫のような場所だった。
物置きのような小さな部屋の冷たいコンクリートに放り投げられ、縄でしばろうとする男に抵抗すると、頰を思いきり叩かれた。
ジンジンと痛み、血の味がする口のなかが気持ち悪い。
西宮さんは抵抗せず、ただ静かに従っていた。
「おい、こっちが本条の女か?」
「あいつには世話になったんだよなぁ」
全身を舐め回すように見つめてくる男達から目をそらす。だけど当たり前に私のことなんてお構いなしで、男はニヤニヤしながらナイフを取り出して、私の服を切り裂いた。
「っ、やめてっ!」
後ろに縛られている手では抵抗できなくて、必死で身体を前のめりにする。
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。
それでもするりと入り込んだ男の手が身体をつたって、吐き気に襲われる。
「その子になにかしたら時雨が黙ってないわよ!」
身をよじらせて抵抗していると、ずっと口を開かなかった西宮さんが強い口調でそう言った。
恐怖で歪んだ顔を向けると、彼女は心配そうにこちらを見ていた。
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