聖夜の事件

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「へぇ、お前が先にヤられたいって?」 「っ、いっ⋯⋯」 もう1人の男が西宮さんの髪の毛を掴みながら自分の方へ引き寄せる。 「おい、その女はあとのお楽しみだ。俺達の相手もしてくれるさ」 「んだよ、お預けかよ〜」 ぱっと髪の毛を離した男は残念そうにうなだれる。 そのとき、扉が開いて「いつまで遊んでんだ!さっさと来い!」と罵声が飛んで男達が「やべっ」と慌てて部屋から出ていった。 「⋯⋯大丈夫?」 壁に寄り掛かる西宮さんがうずくまったままの私に控えめに呟く。 「西宮さんは?」 「私よりあなたのほうが⋯」 座り直した私の胸元は開いていて、冷たい空気にぶるりと震える。 私はどうしてここにいるのかな⋯⋯。 薄暗い室内を見渡しながら、ぼんやりとそんなことを思う。 「もう少しの我慢よ。きっと沙羅が時雨達に伝えてくれてると思うから」 寒すぎて、頭まで血が回っていないのかもしれない。 「きっと誰も来ないよ⋯」 1人でクラブを離れたサラさんは、私達を助けるために動いてるなんて到底思えなくて、気づけばそんなことを口走っていた。
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