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だけどやっぱり来るんじゃなかったと思ったのは数十分後。
「あ、こっちのも可愛い!」
「やっぱりさっきのお店のほう良かったかしら?」
「これ沙羅にすっごく似合う!」
夢中になった彩香のショッピングは予想通り、かなりの時間を費やした。
私は最後にはただの着せ替え人形のようだった。彩香が納得のいくものが見つかったみたいだから、よかったけど。
「明日、忘れないように持って来てね」
別れ際、私の肩にかかる買ったばかりの服が入ったショップ袋を指差して、彩香は晴れ晴れした表情で帰っていった。
「⋯⋯ふう」
⋯⋯今日はよく歩いて疲れた。
お風呂に入ってから、倒れるようにベッドに入る。
頭がぼんやりして目が重くなってきたとき、テーブルの上に置いていた携帯の着信音が鳴って身体を起こす。
表示された名前を確認して、画面をタップする。
「もしもし、」
何ヶ月ぶりだろう、電話がかかってきたのは。会ったのなんてもっと前だろう。
『沙羅、久しぶりね!元気にしてる?』
久しぶりに話す私の“保護者”は、相変わらずのパワフル全開だった。
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