悲鳴を欲する生き物の話

　子供向けだと思っていたアニメ映画で号泣してしまった。

　原作の漫画があると知ったので読んでみたところ、さらに感情が掻き乱された。

　その漫画には原作となった小説があると知り、数年ぶりに小説を買って読んでみた。

　その世界観に引き込まれ、その世界で生きるキャラクターのことがしばらく頭から離れなかった。

　素晴らしい体験をした気がする。
　また同じような感覚を味わってみたい。

　そんな思いでいろいろな小説を読んでみることにした私は、十五冊目の文庫本を読み終わったところで深い溜息をついた。
　それなりに面白いものもあったけれど、そこそこだなと感じるものも多かった。最初に読んだあの小説と違い、読んだだけでは世界に入り込めない小説が世の中にはこんなにも出回っているのか。
　そんな、呆れを含んだ溜息である。