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予想以上に相手が手強かった。闇世界では嘘の情報が溢れている。簡単に倒せるという情報だったのだが。
俺は隠れ家に入ると、腑から滲み出ている血を止めた。布で負傷した場所をきつく縛ると、痛みで呻いた。
携帯に連絡があった。依頼成功を賞賛するメールと即日送金するメールが届いていた。
俺はそれを読むと痛みを忘れるほど喜んだ。しかし道のりは険しい。あと何人殺せばいいのだろうか。
俺は殺し屋組織に雇われていた。妹が何者かに誘拐されて、返して欲しければ十億を払えと言ってきた。警察に通報すれば即座に殺すと警告された。
俺がそんな大金を集めるには非合法な組織で働くしかなかった。どんなに善良な奴でも妹のためだと思って殺してきた。
殺した人数が二十人を超えようとする時に、ある男から情報を入手した。その男は立花と名乗っていた。
立花が俺のことをどうやって知ったのかはわからないが、俺に衝撃の真実を伝えてきた。妹は既に組織によって殺されていると情報だった。
メールには無抵抗の妹が銃で撃ち殺される動画が添付されていた。俺はそれを見ると全身の力が抜け落ちて地面に座り込むと絶え間なく涙を垂れ流した。
俺は立花から妹を殺した組織の奴らの場所を教えてもらって、組織を死力を尽くして壊滅させた。
俺はやっと妹の無念を晴らしたのだと泣きながら喜んでいた。しかしそんな俺の前にメールでしか知らなかった立花が現れた。
組織を相手に戦って疲弊している俺に立花が不気味な笑みを浮かべて銃口を向けた。俺はここで死ぬのかともう観念した。
立花が俺に銃を突きつけながら愉快そうに語っていた。妹を誘拐したのは立花で、殺したのは組織ではなく自分だと明かした。
俺は組織を壊滅させるために利用された。立花は俺が死ぬ気で集めた金も奪うと言ってきた。
俺は利用されたことが悔しくて仕方なかった。でも満身創痍の俺は立花にやられるしかなかった。
最期に見たのは立花の俺を馬鹿にした笑い顔だった。
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