プロローグ

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「マンションに引きこもって外にさえ出なければ大丈夫よね。ネットで買い物できる世の中だから……最低限の生活は送れる」 サブ口座のお金を掻き集めれば給料日までの生活資金はある。 だけど、ストーカーなヤラカシヤンデレ男の存在に恐怖を感じる。 オートロックのマンション内に侵入し、ドアの前で私を待ち伏せしている元カレ。 復縁を迫るために引っ越しても引っ越しても居場所を突き止め、付き纏ってきた。 だから、自宅マンションに留まる事ができず、スマホとiPadにノートパソコンだけ所持し、国内外を転々と渡り歩き、セキュリティーが高い一泊一万円以上するラグジュアリーホテルに滞在し、ラウンジで仕事をしていた。 「……アイツ、さすがにもう諦めたよね」 ホテル暮らしを始めてから三年の月日が経つ。 いまだに月に一〜二度、国内外場所構わず元カレに遭遇する。 だけど、話しかけてはこない。 だから、見かけたら即全力疾走で逃走。  追いかけて来ないから故意的ではなく偶然に遭遇してるだけな気もしてきた。  ここ最近は全く見かけていない。 連泊で滞在しているシングルの部屋に戻り私物を片付ける。 フロントに駆け込みチェックアウトし、マンションへ戻る事にした。
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