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友達に、チェックの柄がとても好きな子がいる。
その子の服や持ち物には、一部分だけだとしても、必ずどこかにチェックの柄が使われている。
どうしてそんなにこだわるのか尋ねたら、お母さんが好きらしく、物心ついた時にはチェックの柄に囲まれていたため、自然と自分も気にいるようになったそうだ。
でもある日、私は気づいてしまった。その子が持っている品のチェック柄が、微妙に他のチェック柄と違うことに。
ほんの僅かだけれど、縦線の上の方に引かれている横線。それに気づいた頃から、その子の周りに『それら』が見えるようになった。
小さな黒い影。それが友達に近づこうとする。でも友達のチェック柄に弾かれ、いなくなる。
たびたび目撃するその光景に、私の中で育った一つの仮説。
あれはただのチェック柄ではなく、模様を装った十字架なのではないだろうか。
親が周りに置くことで、自然と本人も好むようになった十字架模様と、それに弾かれて消える黒い何か。
友達とはいえ、人様の家の事情に首を突っ込む気はないから、あえて何も言わないけれど、友達一家は、神様のご加護を受けなければならない状況にいるようだ。
今までは、友達に似合っているし普通に可愛いと思っていたチェック柄が、今は神々しいと同時に少し怖い。
チェック柄…完
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