再会

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「そうだよ。日向が赤ちゃんの時から6歳まで、日向のお母さんとお父さん、3人でここで暮らしてたの」 戸惑いながらも笑顔を作る。 「どこが僕の部屋?」 日向が質問を続ける。 「取り合えず中に入ろうか。部屋は2階だから」 外付けの階段を先に上る私の後ろに日向が続く。 部屋の鍵を開け、玄関から奥が見えるように大きくドアを開けた。 「どう?何か思い出した?」 「ううん、何も。あなたはいつも僕に聞いてくるけど『思い出す』って一体、何をなの?」 「……今はまだ、いいの。じゃあ上がって」 『あなた』、か。 何度目かの涙を目に溜め、流れないように堪えながら笑顔を向ける。
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