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③
さて、そろそろ頃合いだから買い物にでるとしようか。
学校帰りにスーパーに寄ってしまうと割引がされていない。
だから決まって一度は帰宅する。預かったお金の中からやり繰りをし、自分の小遣いにもつなげていく。そうして今までやってきた。
買い物上手が発動して、理想的に仕上げられた日は、やっぱり褒めてほしい。
ある日、その夜も遅くに帰ってきた母。まとわりつき、あのねあのねと言ってすがった私に母は「疲れて帰ってきてるのに何なの!?」
ショックが止まらず、それはついに初めて知る孤独になったんだ。
疲れてるだろうからと話したい気持ちを我慢してきて、今日くらいはいいでしょと、話してみれば怒られる。孤独が私の心に生え育つなんてことは、簡単だった。
わかってほしい、みてほしい。
子供としての権利を行使しないままの人生をまだ歩むのか。
歩まされるのか。
外から帰ったら「おかえり」と言ってくれる家がよかった。
そのまま素直に「ただいま」と言える家がよかった。
私は今日も、母のご機嫌を気にしている。
母と二人でいるのに感じる心の孤独は、私の解放されない心の表れだ。
きいてほしい、そばにいてほしい。
ずっと言えなかったかすかな思いは、いつしか増大し、絡めとることすら難しくなっていた。
せめて、せめてひとつ言わせてもらえたら、わずかな心の軽みができるのにな。
母の腕の中に「ただいま」って帰りたい。
私は孤独にヒトリだ。
(そんな寂しいヒトリDays)
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