放課後の図書室で

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「私も海外の小説にチャレンジしてみようかな〜。おすすめある?」 「小川さん、僕のおすすめでいいの?」 「水沢くんのおすすめ小説はハズレなしだから!」 「……わかった。案内するね」 水沢くんは嬉しそうに立ち上がり、カウンターの奥から出て来る。おすすめの本がある本棚まで案内してくれるみたいだ。わくわくしていた私は、カウンターの奥に貼られたポスターの存在にふと気付いた。 『2024年度 高校生ビブリオバトルのお知らせ』 ビブリオバトルって何だろう。今まで生きてきた中で聞いたことのない言葉だ。 「水沢くん!ビブリオバトルって何?」 私の問いに水沢くんはすぐに答えてくれる。こんなに楽しそうな彼を見られるのは、この学校内できっと私だけだろう。そう思うと胸が弾んでいく。 「ビブリオバトルっていうのは、自分にとって特別な一冊をーーー運命の一冊を他の人に紹介するんだ。一番紹介の仕方が上手だった人が優勝するんだ」 高校生ビブリオバトルは、隣の市の学校で行われるらしい。図書委員に所属している必要はなく、読書が好きならば誰でも参加できるそうだ。
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