3.俺の翼

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「…知ってるって」 「希跡は〜?」 「はぁ?そんなの、言わなくたって分かるしょ」 「え〜希跡ぃ〜」 口を尖らせ、まるで子供が駄々を()ねるみたいに、"言って欲しいなぁ?"って顔をする。 「え〜じゃねぇし」 「え〜希跡ぃ〜。き〜せ〜き〜。ね、お願い。言って?希跡は俺の事、好き?」 なんだ、この無茶振り的な感じは…! なんて思いながら、翼の"お願い"に、俺は弱かった。 「………す、すき、だしっ。聞くなよ、馬鹿っ!」 あまりの恥ずかしさに俺は、翼の腕から抜け、背を向けた。 俺は翼と違って、あまり、てかほとんど、"好き"という言葉を口にしない。 だからこうして時々、翼が、俺の"好き"を聞きたがる。 「ごめんごめん。でも、聞きたかったんだ。希跡、あんま言わないしょ?だから、聞けて良かった。ありがとう」 翼は優しい声でそう言うと、そっと、後ろから俺を抱き締めた。
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