10人が本棚に入れています
本棚に追加
レジに瀬戸さんが立っていることを確認して、店の中に入った。
他のお客さんがいなくなるのを待って、パンをレジに持っていく。
そして、レジを済ませた後、話しかけた。
「あの……! よかったら連絡先交換してもらえませんか?」
そう言って目線を下げたまま、怖くて前が見られない。声は緊張で震えていた。
返事はない。
突然すぎた? 引かれてる?
そんな考えが頭の中をぐるぐるとまわった。
「……いいですよ。」
そう声が聞こえて、顔をあげる。
ーー瀬戸さんの顔は、真っ赤だった。
連絡先を交換して、瀬戸さんの名前が、「奏多」であることを知った。
そして、名前の呼び方が、「瀬戸さん」から「奏多さん」に変わるまで、そう時間はかからなかった。
最初のコメントを投稿しよう!