side:紬希

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 レジに瀬戸さんが立っていることを確認して、店の中に入った。  他のお客さんがいなくなるのを待って、パンをレジに持っていく。  そして、レジを済ませた後、話しかけた。 「あの……! よかったら連絡先交換してもらえませんか?」  そう言って目線を下げたまま、怖くて前が見られない。声は緊張で震えていた。  返事はない。  突然すぎた? 引かれてる?    そんな考えが頭の中をぐるぐるとまわった。 「……いいですよ。」  そう声が聞こえて、顔をあげる。  ーー瀬戸さんの顔は、真っ赤だった。    連絡先を交換して、瀬戸さんの名前が、「奏多」であることを知った。  そして、名前の呼び方が、「瀬戸さん」から「奏多さん」に変わるまで、そう時間はかからなかった。
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