side:奏多

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 ある日、緊張した様子でレジにやってきた彼女に、連絡先を交換したいと声を掛けられた。  嬉しいのと驚きでしばらく声が出なかった。 「……いいですよ。」  なんとか声を絞り出して返事をしたとき、俺の顔はきっと赤くなっていただろう。  連絡先を交換したときに、彼女の「」という名前を見て、はっとした。  聞けば、彼女が初めてこの店に入った日、そのきっかけの1つに、自分の名前と店名が同じ音だということがあったという。  紬希が「スタンプを全部集めたら連絡先を聞く」と決めていたことを、俺が知るのはもっと先のことであるーー。
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