のこり福

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「お参りしていくか?」 「高波君は商売人だから  もう済ませたのじゃ」 「ああ、九日の宵戎に  母親ときたけれど…  あ、ハハ…」 「なに?思い出し笑い?」 「いや、母親がさ、  商売繁盛のはずが  横で『この子に御縁を』  なんて言ってたからさ…  あの…ええと早速…  あの…御利益なんて  ハハ…ハハ…ハハハ…」 その照れ笑いに 胸が鳴った。 そして 思い出す  『早く健康な人と幸せに』         母の笑顔。 この人と、明日からは ”良いこと”を集めてみたい。 「うん!二人でお参りしよ!  のこり福をお願いしよ!」 十八歳の私が笑っていた。  
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