57人が本棚に入れています
本棚に追加
母が脳腫瘍を患ったのは
十年前の秋、
「早く健康な人と
結婚して安心させて」
それが口癖だった母の
思わぬ発病だった。
私が小学校へ上がる手前で
事故であっけなく死んだ父を
弔いながら母娘で長く…
暮らし過ぎたかもしれない。
母が助かることだけを
一心に願って過ごした半年、
母のいない人生など
到底考えもつかなかった。
けれども、その願いの叶った
半年先には 介護 という苦難。
折角助かった母を、
苦難と、荷物だと
思い始めた自分。
市役所勤めであるから
決まった時間に出勤帰宅は
出来たものの、
会話も辿々しい人間の
衣食住を介助することの
困難を、軽くみていた私、
天罰のように疲労が
深まってゆく日々だった
最初のコメントを投稿しよう!