運命を操る本

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ゴミの日だった今日のうちに、アパートのゴミ捨て場に本を捨てるのは目立つだろう。本を回収に来てくれる日までまだ随分と先だ。 どうしよう。 ゴミ捨て場で途方に暮れかけた僕は、この本がもとは図書館にあったものだと言うことを思い出した。 どうせこの本は誰か他の人が見ても白紙にしか見えないのだ。あの司書さんがそうだったように、これは僕にしか読めない本だ。 気が付けば体が勝手に動いていた。 図書館に向かって走り出していた。 角を曲がった先で、悲鳴にも似たクラクションの音を聞いた。 ガシャーンッ! 体に強い衝撃があった。目が開けていられないほどの睡魔に突然襲われた僕は、転がっていた本を見つけても手を伸ばせなかった。 ーーーー ーーー ーー
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